スター・ウォーズシリーズの世界に登場する数多くの種族たち。画面に登場するたびに心が躍るが、なかなか名前を覚えられないし、どんな種族なのか分からない。そんなスター・ウォーズファン向けに、劇中に登場する20の種族を選んで紹介!スター・ウォーズ世界の広がりを伝える入門記事・後篇!
Written by イサク
前篇に続いて、知っているとさらにスター・ウォーズを楽しめる銀河の多様な種族を紹介(以下、画像引用はFandomより;©Lucasfilm Ltd. LLC)。
トランドーシャン
惑星トランドーシャを出自とするトランドーシャンは、間違いなく銀河で最も狩猟を得意とする種族の一つである。狩猟は、彼らにとって重要な通過儀礼であり、趣味であり、またしばしば稼業でもある。そのため、名うての賞金稼ぎとして知られるボスクを筆頭に、賞金稼ぎというこの狩猟的商売に就く者も多い。
頑丈ながらも滑らかな鱗、鋭い爪、獲物の動きを逃さない特徴的な目を持っている彼らの狩猟趣味は著しいものがあり、ある時には、知覚種族を狩猟する楽しみを追い求めたトランドーシャンの同好会のような組織が、なんとジェダイ訓練生を複数人捕獲してジャングルに放ち、それを狩猟するゲームまで行っていたという逸話に伝わる。ジェダイを相手にできるほど強力な種族であるということだ。もっとも、気のいいトランドーシャンもいるので、見た目だけで恐れるような失礼があってはならないが。
ガモーリアン
ガモーリアンほど小馬鹿にされている種族はいないかもしれない。ジャバ・ザ・ハットに部下として仕えている者らが特に知られている彼らは、その怪力と冷酷さで有名であるが、ちょっと嘘をつけば簡単に騙せてしまえるからだ。しかし、それは彼らが素直な性格だからであり、騙し騙されあう関係よりも素直に正面から力比べをするような関係の構築に重きを置いているからである。また彼らが冷酷に見えるのも、彼らが主人ないし雇用主の命令をまさに「素直」に遂行するからなのだ。冷酷なのは主人の方である。
彼らを小馬鹿にする態度のなかには、彼ら自身の問題よりも、小馬鹿にする側の問題の方がより多く反映されている。この多様なる銀河では、あまり多様ではない種族差別の形式というものがある。銀河文明が未知の惑星の種族と接触したとき、もし彼らが「未開社会」と見なされる生活をおくっていたとすれば、彼らは交流開始以降も長い間、差別の対象となる可能性が高い。また銀河ベーシック標準語と言われているものを、生来の声帯構造によって話せない場合も差別の対象となる。ウーキーと同じく、ガモーリアンはその両方に当てはまるのである。
アクアリッシュ
銀河ベーシック標準語を話さないにも関わらず、銀河の各地で成功を収めた種族としては、惑星アンドーを起源とするアクアリッシュがいる。彼らのなかには交渉術に長けた者が数多くいたため、逆にアクアリッシュ語を話すことも理解することもできず、通訳ドロイドに任せっきりになってしまうとしたら、重要な取引は任せられないほどだ。
アクアリッシュには目が二つの者や四つの者がいて、指の数なども個体によって多様であった。職種傾向はさらに多様で、軍人、政治家、賞金稼ぎ、商人、機械工などあらゆる職業に就いている。クローン戦争や銀河内戦時には敵味方に分かれて戦ったのだが、それも彼らにとっては特に気にする問題ではなかったようだ。
ヒューマン(コルサンティアン)
この病気で毛の抜けたウーキーのような見た目をした種族を、田舎の惑星ならまだしも、多様な種族が雑居する惑星で一度も見たことがない者など存在しないだろう。ウーキーのような知恵と怪力もなく、また飛びぬけた交渉術で知られているわけでもないこの種族の最大の武器は、繁殖能力の高さと、さまざまな環境への適応能力に見出せるかもしれない。実際、広大な銀河のどこに行っても、この惑星コルサントを起源とする種族はひょっこり現れるのである。性格は残虐な者から卑怯な者、穏やかな者までさまざまで、職種も多様である点はアクアリッシュに似ている。
特に凶暴ではないが、コア・ワールドで彼らに接近する場合には注意が必要である。というのも、たまたま交通の要所だったから首都惑星として繁栄したコルサントの原住であったことで、彼らは自種族中心主義的な傾向を強く持つことになったのである。銀河ベーシック言語とは元々は彼らの言語であり、またヒューマンという自称から知覚種族全体の名をヒューマノイドなどと呼ぶことを好むのも自種族中心主義の表れである。この長年多くの種族を辟易とさせた傲慢さは、銀河帝国期において頂点に達した。そのとき彼らは、自身こそが銀河を支配するに値する優等種族だと信じたのである。そうして数多の惑星で強圧的な支配を施行し、逆らう存在の虐殺を繰り返したわけだが、この帝国の悪行は、元々彼らのなかに潜在していた性質だったのかもしれない。二度とそのような思い上がりをさせないためにも、ヒューマンという傲慢さが入り込んでしまっている名前ではなく、コルサンティアンという名前で呼ぶことが推奨されるべきだろう。
トワイレック
トワイレックと聞いて、特にその女性のエロティックな美貌ばかりを気にする銀河中の男性諸君は、彼らの文化と惑星ライロスの悲惨な歴史については何一つ知らないだろう。青を筆頭に緑や橙などのカラフルな肌の色と、レックとも呼ばれる頭に生えた2本の触手のようなものが特徴的だが、脳が接続しており非常に敏感であったそのレックが時には1本、あるいは3本以上生えた個体もいて、そういった者は、その希少性からトワイレック社会において高い地位に就くことも多かった。しかし、非常に賢いこの種族は、よく目立つレックよりも、その特殊な生殖能力においてより特徴的である。というのも、この種族は、ほかの知覚種族と子を設けることができたのだ。なぜそのように進化したのかには諸説あるが、ここでは触れまい。
それより知るべきは、トワイレックの歴史である。旧共和国初期には奴隷制度が認められていたこともあり、恒常的に食料が不足しているライロスでは、ハット・クランまで介入してきたスパイス採取をめぐる戦争と荒廃を経て、女性が外貨獲得のために奴隷として売られた歴史がある。その歴史はいまも終わっておらず、貧しい生活を抜け出すために娼婦として売られる道を選ぶ女性や、美しい彼女たちを狙ってやってきた海賊などに誘拐されて売られてしまう女性があとを絶たない。ライロス以外では女性のトワイレックの方が圧倒的に見られるのはそれが理由なのだが、この負の遺産を持続させているのは、彼女たちのレックを弄びたい男たちや、購入した彼女たちを他人に見せびらかせたい、どうしようもない男たちの尽きぬ需要そのものなのである。
クラトゥイニアン
実質的奴隷という意味では、ニクトやこのクラトゥイニアンの多くが陥った状況も同様である。ニクトの母星であるキンタンと同じシクラッタ星団に属する惑星クラトゥインを出自とするこの種族は、ハット・クランにとってはまさに奴隷そのものであった。
彼らの特徴として何よりも先に挙げられる忠誠心の高さというものも、ハット族の圧倒的権力の前に物言えず過ごしてきた長い期間そのものの、悪しき成果なのかもしれない。もしニクトやクラトゥイニアンが全員で一致団結して挑んだとしたら、もしかするとハットは窮地に追い込まれたかもしれないが、ハット・クランの狡猾さはそれを許さなかったのだ。もっとも、一部のクラトゥイニアンには自主独立して賞金稼ぎになったり、ギャングを形成したり、精肉工場などでまともな職に就く者もいて、特に旧共和国時代末期から活躍した名うての賞金稼ぎキャスタスは、もし何かが違えばクラトゥイニアンの希望の星になれたかもしれない人物だった。
アイソリアン
深きにいたる知性、落ち着いた態度、途方もないほどの期間がかかることをものともしない計画性と忍耐で知られるアイソリアンは、まさに銀河の賢人と呼ぶにふさわしい存在だ。その特徴的な見た目から表情も読みづらく、交渉術に秀でた者もいるようだ。折れ曲がった首の両側に、横に開いた口があるという珍しい身体的特徴を持つ彼らは、母星アイソアで自主独立や自治という言葉が持つ可能性をあらんかぎり展開していた。コルサントを筆頭にあらゆる文明的とされる都市惑星では、本来あった環境は徹底的に破壊されてしまうものだが、あの美しいアイソアでは、温暖で豊かな環境に生息するさまざまな動植物と高度な文明が見事に調和した。アイソリアンは、動植物を保護・管理しつつ、環境を破壊することもないままに、栽培船と呼ばれる浮遊都市を形成するほどの高度な技術を獲得したのだ。自らの文明で母星を住めない星にしてしまう愚かな種族も多いなかで、彼らの歴史は注目に値する。
彼ら独自の自治を重んじる政治体制も、誰かによる誰かの支配というありふれた関係とは違った見事な制度となっており、それが戦争という選択を容易に避けさせ、彼らに例外的なタイプの繁栄をもたらした。彼らはしばしばハンマーヘッドと呼称されるが、こう呼ばれることは特に気にしていないようである。しかし、特徴的な二つの口によって聞き取りづらいものになってしまう彼らの銀河ベーシック標準語を馬鹿にして、ヒューマンたちが呼び出した、レザーネックという蔑称は許されない。温厚な者が多いアイソリアンのなかにも、賞金稼ぎやフォース感応力の高い者がいて、怒ると怖いということを知っておくべきだ。
ムウン
知的であることで評判の種族としては、ムウンもよく知られている。しかし、彼らの知性が働いた方向はアイソリアンとは対照的だ。ムウンと言えば、やはり母星スキピオを本拠に築き上げられた経済帝国、特に全銀河経済の半分に関わるとされるインター・ギャラクティック銀行グループ(IGBC)の存在だろう。高度な計算能力をもとにした金銭感覚によって、長身細身のこの種族は、旧共和国よりも古くから史上最大の大企業を生み出していた。そのIGBCをさらに巨大な存在へとしたのは、クローン戦争期の会長サン・ヒルである。戦争による経済混乱を利用して、あえて自身の発行していた共和国クレジットを暴落させ、各惑星の独自通貨の発行を指導。高金利で独自通貨間の通貨交換で厖大な利益をあげつつ、銀河を経済的支配下においていったのである。
しかし、サン・ヒルが分離主義運動を利用したのだとしたら、そのサン・ヒルを利用していた者もまたいた。幼少時代にIGBCの次期会長としてサン・ヒルの思想を育てたムウン、ヒーゴ・ダマスク、別名ダース・プレイガスである。プレイガスは、その綿密な共和国転覆計画にもとづいて、かなり以前からサン・ヒルによる戦争利用の選択を誘導していたのだ。プレイガスが弟子のパルパティーンに殺され、クローン戦争が起き、また戦争が終結して、サン・ヒルが惑星ムスタファにてダース・ベイダーの手で殺されたあとも、IGBCを筆頭としたムウンの影響力は持続する。銀河帝国期にも、あのヒューマンたちの自種族中心主義的な差別政策の対象から例外的に除外されたほどだ。IGBCをさらに巨大かつ永続的なものにするという、サン・ヒルとムウンたちの野望は叶ったのである。ちなみに銀河中で恐れられた暗殺ドロイドIG-88やIG-100マグナガードといったドロイドは、IGBC傘下の企業が製造したため、見た目がムウンを模した面長になっている。
イウォーク
本当に追及するべきは、金銭でもなく、権力でもなく、正義ですらなく、気楽で楽しい生活であるのだとしたら、ムウンやシスやジェダイよりも、アウター・リム・テリトリーのなかでも辺境にあたる「森の月エンドア」なる衛星に住む、この小さな毛むくじゃらの種族を目標にするとよい。イウォークと呼ばれるこの種族は、鬱蒼と茂った森を走りまわって、森についての豊かな知恵を駆使して狩猟採集生活を営んでいる。ほかの星で見かけることはまずないが、コルサントに現れれば、その可愛さから人気を博すかもしれない。
しかし、まさにその牧歌的生活と容姿を見てイウォークの存在を軽視したことが、エンドアの戦いにおける銀河帝国の敗北、つまりは強大な帝国の短い繁栄を終焉させる事態に繋がるとは、当時のストーム・トルーパーの誰一人として予期しなかった。強力な知覚種族でも平気で捕らえて食べてしまおうとするこの種族は、実はジャングルにおいて、原始的でありながらも高度な戦闘力を有していたのだ。小さな毛むくじゃら種族の強襲によって、帝国の優秀なスカウト・トルーパーたちが次々と倒され、ほかの惑星で人びとを圧倒した歩行兵器AT-STも破壊されていく。同盟軍は、この種族のゲリラ戦術の力を借りることによって、はじめて第二デス・スターの破壊に成功したのだ。
ヨーダの種族
最もよく顔の知られたジェダイと言えば、銀河共和国末期にジェダイ評議会を指導したヨーダであろうが、そのヨーダが一体いかなる種族で、母星はどこかということは、銀河の誰も知らなかった。
いまだ呼称もないため、便宜的に「ヨーダの種族」と呼ばれるこの種族について、その小柄で緑色の見た目以外に知られていることはわずかである。第一に、おそらくほとんどの者が非常に高いフォース感応力を持っていたこと。第二に、数が著しく少ないこと(一部はジェダイ聖堂において匿われていた可能性がある)。第三に、男性と女性が存在すること、したがっておそらくは生殖活動によって繁殖すること。第四に、あらゆる種族のなかでもかなりの長寿であること、などである。また基本的に雑食であるが、いくつかの証言によると、カエル型の生物やその卵などを好んで食べるらしい。この種族の起源と歴史は銀河の謎の一つであり、帝国崩壊後の残党を含むいくつかの組織や個人はその探求に血眼になっているという。