スター・ウォーズ世界で覚えておくべき【種族】20選〔前篇〕

スター・ウォーズシリーズの世界に登場する数多くの種族たち。画面に登場するたびに心が躍るが、なかなか名前を覚えられないし、どんな種族なのか分からない。そんなスター・ウォーズファン向けに、劇中に登場する20の種族を選んで紹介! スター・ウォーズ世界の広がりを伝える入門記事・前篇!

Written by イサク

はじめに―広い銀河の種族たち

スター・ウォーズシリーズの世界が拡張していく。ディズニー+の大人気ドラマ『マンダロリアン』、そして現在公開中の『ボバ・フェット(The Book of Boba Fett)』は、ルーカスの右腕デイヴ・フィローニと『アイアンマン』などで知られるジョン・ファブローを制作の中心において、毎週世界中のファンたちを歓喜させている。

宇宙が拡張していく。アニメドラマ『クローン・ウォーズ』シリーズや数多のコミック作品や設定資料集で拡張されてきたスター・ウォーズ世界は、ちょっとした描写や細部へのこだわりによって、再びこの銀河の内実を豊かなものにしていっている。

そうしてスター・ウォーズ漬けの日々を過ごしていると、『ボバ・フェット』を観た友人からこんな悩みをきいた。曰く、「劇中に登場する種族が多すぎて、なかなか覚えられない」と。

そこで今回は、広大な銀河で生活するいわゆる知覚種族(Sentience:知的に思考する種族の総称)のなかから20種族を選び、簡単に紹介することにしよう。

もちろん、劇中に登場する種族を覚えていなくても物語を楽しむことはできるが、スター・ウォーズの魅力の一つは、この銀河にさまざまな種族やドロイドが存在することそのものの喜びだ。カンティーナ酒場がはじめて画面に登場したときの、あのワクワク!銀河のあの〈雑多性〉こそが、スター・ウォーズを支える重要な要素の一つなのである。以下では手持ちの資料等を参考にしつつ紹介するが、いわゆるレジェンズの内容も含めるし、また一部筆者の思い入れが強く出ている内容があったとしても大目に見てほしい(以下、画像引用はFandomより;©Lucasfilm Ltd. LLC)。

ウーキー

まず何よりも覚えておかなければならない種族は、森の惑星キャッシーク出身の大型知覚種族ウーキーだ。というのも、もしウーキーの誇り高さと気さくさ、凶暴さと優しさを知らないでいるとするならば、宇宙の楽しさの半分は知らないようなものだからである。もし何も知らずに彼らと揉めてしまったのなら、(よく知られているように)腕を引っこ抜かれてしまっても仕方がないだろう。

母星に巨大な樹木の美しい都市を築きあげ、自身の言語で「樹木の民」を意味するウーキーと名乗った彼らは、平均で600年ほど生き、非常に思慮に富んだ存在である。賞金稼ぎのクルルサンタンや密輸業者のチューバッカの名が知られているが、しばしばウーキーはその怪力から奴隷労働力として狙われてしまった存在でもあり、チューバッカも檻に入れられたことがあった。母星を離れて活動するウーキーの多くにはそのような背景から深い心の傷があるため、それが原因でしばしば凶暴と勘違いされてしまうのかもしれない。

ザブラク

惑星イリドニアを起源とするザブラクもまた、誇り高さにおいてウーキーに引けを取らない。頭部に複数の角を持ち、心臓を二つ持っているこの種族はそこらで見かけることは多くないものの、優れた運動能力を持っており、またフォース感応力の高い者も多く生み出している。

プライドが高いが心優しい者も多い。しかし、忌むべき惑星として宇宙航行者に噂されるダソミアには、ナイトシスターと呼ばれる謎の魔女たちに仕える男性ザブラクだけの集落があって、彼らは別だ。ナイトブラザーとかダソミリアン・ザブラクなどと呼ばれる彼らは、全身に赤黒や黄黒の特徴的な入れ墨を施しているので一目で分かる。見かけても決して関わってはいけない。

タスケン・レイダー

アウター・リム・テリトリー(外縁宙域)で最もよく知られた星の一つである砂漠の惑星タトゥイーンには、気の遠くなるほど長い間、砂漠で生活をしている原住民がいる。タスケン・レイダー、あるいはサンド・ピープルと呼ばれるこの種族は、その特徴的なマスクと(外部者から見た)荒っぽい性格から恐れられているが、実は砂漠での生活に対応した、厳しくも豊かで不思議な文化体系を持っていることはあまり知られていない。

砂漠の大型哺乳類バンサは、他種族にとっては便利な労働力ないし食べ物に過ぎないが、タスケンにとっては生涯の友。彼らが傷つけることは(例外的事態を除いて)まずない。彼らが傷つけるのは縄張りへの侵入者か、水分(主にブラック・メロンと呼ばれる果物で接種する)が不足している際に襲う水分農夫くらいである。氏族ごとに外部者への対応に温度差はあるが、「下等な野蛮人」として差別的な扱いを受け、ときには虐殺の対象となってしまうこともあるという点は共通している。そのことが一層彼らを凶暴にするのだ。彼らの文化を深く理解し、付き合うことができる者がもっと多く現れる日が待たれてならない。

ジャワ

タトゥイーンやほかの星で、もしジャワのことをよく知らずに彼らと関わったとしたら、きっと大損をこくに違いない。タトゥイーンを出自とする、外套と不気味に光る目で知られるこの小柄な種族は、ほとんどの者がサンドクローラーという巨大な箱型のジャンク回収・輸送車に乗って、種族経営の商売に従事している。全員が決まって着ている厚いローブの下は、どうやら結構毛深いらしい。

特殊な倫理観と死生観、癖のある所有意識を有している彼らは、特にドロイドにとっては恐ろしい相手だろう。油断をすると身ぐるみを剥がれ、ドロイドであれば停止ないし解体されて売り物にされてしまう。だが、どうやら彼らは一部の動物の卵が大好物なようで、いざと言うときは卵が交渉の材料になるかもしれない(卵ないし彼らが好むマッドホーンの卵は、ジャワ語でスゥガというらしく、知っていれば交渉の際に使えるだろう)。

モン・カラマリ

もし広い銀河で深きにいたる知恵と偉大な勇気とを合わせ持っている種族を挙げるのだとすれば、最初に候補となるのは水の惑星モン・カラを出自とするモン・カラマリであろう。旧共和国時代には確認されるだけでも数人のジェダイを生み、銀河内戦期には「共和国再建のための同盟軍」の偉大なる提督であるギアル・アクバーやラダスを輩出している。水中戦闘ばかりでなく、艦隊戦の指揮まで自在に執れる能力の高さには目を見張る。

銀河帝国滅亡のきっかけとなったエンドアの戦いで、同盟軍主力として第二デス・スター破壊に成功した艦船MC80スター・クルーザーは、実はモン・カラマリが設計したものであり、その工学的技術の高さを証明している。力による圧力に決して屈せず、日和見を決め込むこともなく、短慮と陰謀に踊ることもせず、ひたすらに正義を探求し、また実践しようとしたラダスやアクバーの姿は、銀河にとって最も貴重な教訓に違いない。

クオレン

特徴的な見た目のクオレンは、モン・カラマリと同じく水の惑星モン・カラの出自である。その強面から賞金稼ぎや犯罪者といったイメージが根付いているが、特に凶暴性が高いわけではなく、むしろ見た目ゆえの受容に応えてのことなのだろう。イカ頭という蔑称で呼ばれることもあるが、そんな呼び方をすれば墨か鉛玉を食らってしまっても文句は言えない。

モン・カラマリとは、同じ惑星で戦いあり平和共存ありの歴史を辿ってきた。だが、クローン戦争の際はモン・カラマリから選出されていた2種族共同王の死と跡継ぎ問題に、モン・カラマリ代表でクオレンの元老議員ティッケスが独立星系連合を率いるドゥークー伯爵へと接近したことも重なって、共和国軍と分離主義者のドロイド軍をも呼び込んだ大内戦を勃発させた。ちなみに、裏でドゥークーを操っていたパルパティーン最高議長、つまりは後の銀河帝国皇帝にしてシスの暗黒卿ダース・シディアスの命令によって、分離主義勢力幹部がダース・ベイダーの手で殺害された際、ティッケスは犠牲になったメンバーの一人に名を連ねてしまった。

ローディアン

ローディアンについて語るとなれば、三者三様、落ち着いていたり凶暴であったりと、まるで異なるローディアン像が提出されるだろう。しかし、多くの種族が雑居している星ならばどこにでもいて、またどのような性格であれ積極的なところがあるという点では共通するかもしれない。

彼らの起源である惑星ローディアは、深いジャングルと広大な湿地で知られる惑星であるが、繰り返される氏族間の内戦もあって決して豊かなわけではなかった。ローディアンの見せるあの積極性は、貧困と戦争ゆえに母星を離れた者たちが、生き残るために身に着けた資質なのだろう。その積極性から賞金稼ぎとして悪名を馳せる者も多く、特に犯罪王ジャバ・ザ・ハットに仕えたグリードは、その無残な死の瞬間まで、執拗さと気性の荒さで知られたものだった。ともかくローディアンにとっては、長い間、賞金稼ぎは最も人気のある職業の一つだったのである。

ニクト

ジャバ・ザ・ハットに仕えた存在としては、ローディアンよりもニクトの方がはるかに印象的である。ニクトを見かけたら、そこがハット・クランのテリトリーだとすぐに勘付く必要がある。それが分からなければ死は目前だろう。

彼らの起源である惑星キンタンの過酷な環境は、ニクトを5つの亜種に分けたが、保護膜を持った目や強靭な肉体など、種族全体に共通する特徴もある。彼らの急速な進化と分化を促進したのは、キンタンが恒星ムドウェッシュから受けた多量の放射線の影響によるものであり、そこから彼らを強靭に進化させたムドウェッシュを信仰する宗教まで生まれたほどである。ハット・クランは、長年に渡ってニクトを支配してきたが、それはまさにその強靭さに目を付けたからであり、ニクトなくしてハット・クランのアウター・リム・テリトリーにおける安定的地位はなかったかもしれないほどだ。しかし、母星を離れたニクトたちにとっては、ハットのもとでの仕事は奴隷労働そのものであり、つらさが増す度にムドウェッシュ信仰は復活した。強大なハット族さえいなくなれば、彼らが独立した勢力を目指す可能性は充分に高かったのである。

ハット

惑星ナル・ハッタ出身の巨大なナメクジのようなこの雌雄同体の種族が、アウター・リム・テリトリーばかりか、コア・ワールドに対してまで影響力を持つあれほどの権力を、どのようにして手に入れたかということからは、多くの教訓を学べる。腕力は強いが行動は遅く、また数も少ない彼らは、恐喝や金銭の使いどころを誰よりも理解しており、また権威を活用するというやり方においても他種族から抜きん出ていたのだ。

冷酷に他者の命を奪う恐ろしい存在である一方、状況によっては柔軟に無理も聞き入れる。曲者揃いの外縁宙域、いや銀河全体において、彼らほど対他者関係を巧みに操る種族はいないだろう。特にタトゥイーンに拠点を置いたジャバ・デシリジク・ティウレの能力は、その点で群を抜いていた。一大犯罪組織であるハット・クランのトップであるハット大評議会の指導者でもあった彼には、たとえ強力なブラスターを持っていたとしても、その死後に起こるだろう復讐と社会的混乱を考えれば、手を出せる者はいなかった――コア・ワールド出身で事情に通じていないレイア・オーガナに縊り殺される、あの日までは。ジャバの交渉術は、レイア姫には通用しなかったのである。

パイク

ハット・クランと並ぶほどの犯罪組織をつくりあげた種族として、惑星オバ・ダイアを出自とするパイク族がいる。魚のような顔を特徴的なフルヘルメットで隠した彼らは、惑星ケッセルの鉱山から銀河最大の需要を誇る麻薬=スパイスを採取し、その流通を支配している。要するに、ケッセルでウーキーなどに奴隷労働をさせてスパイスを採取し、それをハット・クランやコア・ワールドの隅々に高値で売るのだ。

そうして儲けた金銭と決して損なわれることのなかった冷酷なイメージで、強大な組織を維持した彼らは、母星の宮殿で享楽に耽る一方、母星の外では契約に厳格であり、それを破った者は決して許さないという一面でも知られていた。銀河の複雑な組織関係、種々さまざまな種族との関係、そして多様ではあるが総じて厄介なアウトローたちとの関係が絡みあうところでは、契約と暴力という二つの手段は、数少ない汎用的関係構築の手段だったのだ。

(続く)

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